久しぶりにエアコンを使ったら、吹き出し口から出る風がぬるくて困った経験はありませんか?
季節の変わり目ならば、窓を開けるなどの対処法で我慢できるかもしれませんが、本格的な夏や冬のシーズンにエアコンに不具合があると運転に支障が出てしまいます。
今年の夏は猛暑なので、エアコンに不具合が生じると熱中症のリスクも高まるため注意が必要です。
この記事では、エアコンから出る風がぬるいときの原因や対処法、プロに修理を依頼した場合の費用相場をご紹介します。
車のエアコンからぬるい風が出る原因とは?
車のエアコンからぬるい風が出る原因はいくつか考えられます。
車のメンテナンスにあまり詳しくない人だと、原因が特定できず不快な状態が続いてしまうので、早めにプロに点検・修理を依頼しましょう。
エアコンガスの不足や漏れ
車のエアコンからぬるい風が出る原因のひとつが、エアコンガスの不足や漏れです。
エアコンガスは冷媒として循環しながら車内に冷たい空気を供給する役割がありますが、このガスが不足すると十分に冷やすことができなくなります。
車のエアコンが冷たくなる仕組み
- コンプレッサーという機械でエアコンガスを圧縮
- エアコンガスが圧縮され液体になる
- 液体になったエアコンガスはエキスパンションバブルにより膨張し霧状になる
- 霧状になったエアコンガスがエバポレーターに送られ、フィンを通して周りの空気の熱を奪う
- 熱を奪われた冷たい空気が車内に送り込まれる
ガスは本来「消耗品」ではありません。
しかし経年劣化や走行時の振動、配管やホースの傷み、接続部のゴム製リングの劣化などによって、少しずつ漏れることがあります。
特に飛び石で配管に傷がつくと、急激なガス漏れが発生することも。
ガス漏れを放置すると、何度補充してもすぐに冷えなくなる悪循環に陥り、最悪の場合はコンプレッサーなど他の部品の故障にもつながります。
コンプレッサーの不具合・故障
車のエアコンからぬるい風が出る原因のひとつが、コンプレッサーの不具合・故障です。
カーエアコンのコンプレッサーは、冷媒ガスに圧力をかけて循環させる心臓部。
このコンプレッサーに不具合や故障が生じると、ガスの圧縮や送り出しが正常に行えなくなり、エアコンから冷たい風が出ず、ぬるい風しか出なくなります。
主な不具合や故障の原因は、経年劣化によるベアリングやシールの摩耗、エンジンから伝わる振動で生じる亀裂、さらに内部部品の焼き付きや詰まりなどです。
また、コンプレッサーを作動させるマグネットクラッチの不調も、冷房効果の低下につながることがあります。
コンプレッサーが故障すると修理や交換が必要になり、作業費用も高額になりやすいので注意が必要です。
エアコンフィルターの詰まり
車のエアコンからぬるい風が出る原因のひとつが、エアコンフィルターの詰まりです。
エアコンフィルターが詰まると、車内に取り込む空気の通り道が狭くなり、風量が大きく低下します。
その結果、エアコンを最大にしても十分な冷たい風が出ず、ぬるい風しか感じられなくなるのです。
フィルターにはホコリや花粉、虫、細かなゴミなどが溜まりやすく、特に交換や清掃を怠るとすぐに目詰まりを起こします。
さらに、フィルターが汚れているとエアコン本体やコンプレッサーにも余計な負担がかかり、燃費の悪化やエンジン負荷の増加にもつながるため注意が必要です。
ヒューズやリレーの不具合
車のエアコンからぬるい風が出る原因のひとつが、ヒューズやリレーの不具合です。
ヒューズはエアコンの電気回路の安全装置で、過剰な電流が流れたときに自身が切れることで、配線や装置本体を故障や火災から守ります。
ヒューズが切れると、エアコンのコンプレッサーやファンなど主要な部品が動かなくなり、冷たい風が出なくなります。
リレーは運転席からのスイッチ操作に応じて大きな電流をエアコンへ供給するスイッチの役割を持っています。
リレーが故障すると、エアコンの主要部品に電気が流れず、やはり冷房が効かずにぬるい風しか出ません。
外気温が高すぎる
外気温が高すぎると、車のエアコンの冷却性能が大きく低下します。
炎天下の駐車後や真夏日には、車内が外気よりも高温(時に50度以上)になることがあり、エアコンを作動させても最初は冷たい風が感じられません。
これは、エアコンが外から取り込む空気自体が非常に熱く、冷媒やコンデンサーが効率よく熱を逃がせなくなるためです。
また、エアコンの運転開始直後は外気の熱気と車内の熱が混ざり合うため、冷房効果が追いつかず、しばらくぬるい風しか出ないこともあります。
エアコンがぬるいときの応急処置
ドライバーにとって、夏場の車のエアコン不調は大きなダメージになります。
外出中にエアコンが効かなくなったら、汗が出て不快になるだけでなく、熱中症のリスクもあるため注意が必要です。
ここからは、車のエアコンの風がぬるいときの応急処置を紹介します。
風量や温度設定を見直す
エアコンの風がぬるいと感じたときは、まず風量や温度設定を確認しましょう。
エアコンの温度設定が高くなっていないかチェックし、冷房の場合はできるだけ最低温度に設定します。
次に、風量を最大に調整することで、冷たい空気が効果的に車内を循環し、熱気を早く排出できます。
また、エアコンの「内気循環」モードに切り替えることで、外の熱い空気ではなく車内の空気を効率よく冷やすことができます。
外気が極端に高温の場合や停車後すぐは、窓を少し開けて熱気を逃がしてから設定を見直すとより効果的です。
外気導入と内気循環の切り替え
エアコンの風がぬるいときは、「外気導入」と「内気循環」の切り替えが効果的です。
外気導入は新鮮な外の空気を車内に取り込み、酸素不足や車内の空気の汚れを防ぐメリットがあります。
一方、内気循環は外気を遮断して車内の空気だけを冷やすため、外気温が高い夏場や急いで車内を冷やしたい場合に冷房効果が上がります。
応急処置としては、まず暑い車内の熱気を外気導入と併用しながら窓を開けて逃がし、その後、内気循環モードに切り替えることで効率よく冷やすことができます。
ただ内気循環は長時間使い続けると二酸化炭素濃度が上がり、眠気や頭痛の原因になることもあるため、30分に1回程度は外気導入や窓を開けて換気するとよいでしょう。
エアコンを一度オフにして再起動する
エアコンの風がぬるいと感じたときは、一度エアコンをオフにして再起動を試してみましょう。
エアコンの制御ユニットやセンサーが一時的に誤作動を起こしている場合、電源を完全に切って数分置いた後、再びエンジンとエアコンを始動することでシステムがリセットされ、正常に冷風が出るようになるケースがあるためです。
特に、長時間運転や高温下で使用を続けたときは内部に熱負荷が溜まってセンサーが誤動作を起こしやすくなります。
再起動後は風量や温度設定、内気循環・外気導入の切り替え状態も確認するとより効果的です。
ブロアファンの動作確認
ブロアファンは、エアコンの冷たい風や暖かい風を車内に送り込むための重要な部品です。
まず、エアコンを作動させたときに送風口から風がしっかり出ているか確認しましょう。
風が極端に弱かったり全く出てこない場合は、ブロアファンの動作不良が疑われます。
ブロアファンの動作不良が疑われる場合は、エアコンをオンの状態でモーター部分を軽く「コンコン」と叩いてみましょう。
モーター内の接点の固着や一時的な動作不良を解消し、ファンが再び回り始めることがあるためです。
しかし、これはあくまでも一時的な応急処置。根本原因の解決のためには、早めにプロに点検・修理してもらいましょう。
原因別|修理費用の目安をチェック

エアコンの風がぬるい原因だと思われる箇所に対して、応急処置をしてみたけれども、冷たい風が出ないこともあるかもしれません。
そのようなときは無理はせず、整備工場やディーラーといったプロに依頼しましょう。
ここからは、エアコンの不具合の対処方法とその費用相場をご紹介します。
エアコンガスの補充:4,000円~
エアコンガスの補充費用は車種や店舗によって異なりますが、多くの場合1台あたり4,000円~8,000円程度が相場です。
車種や冷媒の必要量によって料金が変わるため、総額でおよそ1万円前後かかるケースもあります。
エアコンガスは本来消耗品ではありませんが、経年劣化や漏れにより7年~10年を目安に点検や補充がおすすめです。
ガスの補充は専用の機器と技術が必要なため、一般の方が行うのはリスクが伴います。
必ず整備工場や専門店、またはガソリンスタンドなどでの作業を依頼しましょう。
エアコンフィルターの交換:5,000円~
エアコンフィルターの交換費用は車種や依頼先によって異なりますが、おおむね5,000円前後が相場です。
工賃や使用するフィルターの種類によっては3,000円~8,000円程度の幅があります。
エアコンフィルターは車内の空気をきれいに保つための消耗品で、ホコリや花粉、カビなどを取り除く役割があります。
目詰まりすると風量や冷却効率が落ちるため、1年または1万キロごとを目安に定期的に交換するのがおすすめです。
ただし、走行環境や季節によっては早めの交換が必要になる場合もあります。専門店やディーラーでの点検時に相談してみましょう。
ガスクリーニング:7,000円~
エアコンガスクリーニングは、整備会社やディーラーによっては「エアコンリフレッシュ」「エアコンサービス」などの名称で案内されることもあります。
専用の機械を使い、古くなったエアコンガスやコンプレッサーオイルを回収し、エアコン内部の洗浄・乾燥、新品ガスとオイルの補充を行う作業です。
自分で作業することはできず、必ず専門業者への依頼が必要になります。
ガスクリーニングの費用相場は、作業内容や車種によって異なりますが、7,000円~15,000円程度が一般的です。
エバポレーターの洗浄:30,000円~
エバポレーターは車のエアコンで冷媒を使い車内の空気を冷やす重要な部品です。
冷房時に空気中の熱を吸収する役割を持つため、ここが汚れると冷却効率が低下し、ぬるい風の原因になります。
エバポレーターはダッシュボード内にあり、素人が分解・洗浄するのは非常に困難です。
専用の洗浄液や設備が必要なことに加え、取り外しから洗浄、組み立てまで専門的な作業が求められるため、自分での処置はおすすめできません。
専門の整備工場やカーエアコンのサービス店に依頼するのが一般的で、作業費用は30,000円程度からとなり、技術的な難しさや工数により高額になることもあります。
サーモスタットやリレー交換:10,000円~
サーモスタットやリレーの交換は、エアコンやエンジンの温度管理、電装品の正常動作に欠かせない作業です。
サーモスタットの交換費用は10,000円前後が相場で、部品代や工賃、冷却水の補充費などを含みます。
あくまで目安になりますが、サーモスタッドの寿命は次の通りです。
- 使用開始から10年
- 走行距離が10万キロ
それを超えている場合は、修理ではなく交換を選択した方が良いかもしれません。
リレーの交換は、部品代が1,000~3,000円ほどと比較的安価ですが、工賃を含めると全体で10,000円~20,000円程度が目安です。
まとめ:車のエアコンの不具合は自分での対応は難しい!
いざ夏や冬本場に入り、本格的に車のエアコンを使うシーズンになってから「ぬるい風しか出ない」となると、快適な運転ができなくなります。
そのため、シーズン前に一度車のエアコンが正常に動くかどうかをチェックしましょう。
冷房ならば梅雨入り前後がメンテナンスの目安になります。
しかし、夏真っただ中であってもエアコンの不調は、ドライバーの熱中症リスクも上がるため、不具合に気づいたら点検・修理を依頼しましょう。
福岡県中間市にお住まいで、車のエアコンの不調にお悩みの方は、中間ダイハツにお越しください。
中間ダイハツでは、エアコンの不具合の点検はもちろんのこと、フィルターの交換・清掃なども行っています。
エアコンについて気になることがあったら、お気軽にご相談ください。