久しぶりにエアコンを使ったら、吹き出し口から出る風がぬるくて困った経験はありませんか?
季節の変わり目ならば、窓を開けるなどの対処法で我慢できるかもしれませんが、本格的な夏や冬のシーズンにエアコンに不具合があると運転に支障が出てしまいます。
この記事では、エアコンから出る風がぬるいときの原因や対処法、プロに修理を依頼した場合の費用相場をご紹介します。
シーズン前にエアコンを試運転して、ぬるい風が出てこないか確認しておきましょう。
車のエアコンから出る風がぬるい!その原因は?
車のエアコンから出る風がいつまで経ってもぬるいのであれば、主な原因として次の6つが考えられます。
原因1:エアコンスイッチを押していない
車のエアコンはエアコンのスイッチを押していなくても送風されます。
そのため、初心者の方や新しい車を購入された方は、吹き出し口から風が出るためエアコンは付いていると思い込んでしまいがちです。
しかし、車のエアコンはエアコンスイッチを押さないと作動しません。
そのため、エアコンスイッチを押し忘れるとエアコンからはぬるい風しかでない状態となってしまいます。
故障を疑う前にまずは、エアコンスイッチの押し忘れがないか確認しましょう。
原因2:エアコンガスの不足・漏れ
エアコンの風が冷たいのは、エアコンガスの気化熱を利用しているからです。
- コンプレッサーという機械でエアコンガスを圧縮
- エアコンガスが圧縮され液体になる
- 液体になったエアコンガスはエキスパンションバブルにより膨張し霧状になる
- 霧状になったエアコンガスがエバポレーターに送られ、フィンを通して周りの空気の熱を奪う
- 熱を奪われた冷たい空気が車内に送り込まれる
そのためエアコンガスが不足したり漏れがあったりすると、周りの空気の熱を奪うことができずに、冷たい空気が生成されにくくなってしまいます。
その結果、エアコンから出る風がぬるくなってしまうのです。
エアコンガスの不足は、車の扱いに慣れていない人でも簡単に確認できます。
まずボンネットを開けて、コンプレッサーにあるサイトグラス(エアコンガスの通り道にあるガラスの覗き窓)を確認してください。
サイトグラスを見れば、ある程度のガスの残量は確認できます。
泡が白くなっているようならばガス不足、透明だけれども大きな泡が浮いてくる場合は、ガスの詰まりが原因である可能性があります。
エアコンが作動している状態で、液体の流れや気泡をチェックしてみましょう。
原因3:コンプレッサーの不具合
「コンプレッサー」というエアコンガス(冷媒)を圧縮する部分に異常があると、風がぬるくなってしまうこともあります。
コンプレッサーはファンベルトでエンジンと連動して動くようになっています。
エンジンは正常に働いていたとしてもファンベルトの劣化や、エアコンガスの不足や漏れがあると、冷たい風を作れなくなってしまうのです。
エアコンガスは足りているのに、冷たい風が出ないときは、コンプレッサーの不具合が考えられます。
原因4:エアコンフィルタ―に汚れが溜まっている
家庭用のエアコンと同じく、車のエアコンもフィルターを通して外部の空気を車内に取り入れています。
車は日常的に排気ガスや砂ほこりのある環境を走るため、エアコンフィルターは家庭用よりも汚れやすいと言えるでしょう。
ゴミやホコリがエアコンフィルターに溜まることにより、座席に届く風が弱くなりぬるく感じます。
原因5:エバポレーターの汚れ
「エバポレーター」は車のエアコンの重要な部分であり、人間の体で言うと心臓に当たる部分です。
エバポレーターとは「空気を冷やす装置」で、室内のエアコンならば冷却ファンにあたります。
空気を冷やす装置というと冷房機能を使うときだけに作動するイメージがありますが、実は暖房の場合にも使用されているため、冬場になかなか温風が出ないときにも故障や不具合を疑って欲しい箇所です。
ちなみにエバポレーターの確認は、初心者や機械に慣れていない方には難しいのでプロに確認してもらいましょう。
原因6:サーモスタットの不具合
車のエンジンは高温によるオーバーヒートを防ぐため、冷却水(クーラント)やラジエーターといった部品が取り付けられています。
その中でエンジンの温度を常に適温に保つためには、冷却水の湿度を調整する必要があります。
冷却水の水温を制御しているのか「サーモスタット」です。
どのような車であっても、エンジンをかけた直後にエアコンを作動させると、ぬるい風が出てくでしょう。
これはまだエンジンが正常な状態に温まっていないことが原因ですので、車のエアコンの不調ではありません。
しばらく作動させているにも関わらず、温かいまたは冷たい風が出てこないときには、サーモスタットの不具合が考えられます。
車から出るエアコンがぬるいときの対処法と費用相場
自分でエアコンの風がぬるい原因だと思われる個所に対応してみたけれども、なかなか冷たい風が出ないこともあるかもしれません。
そのようなときは無理はせず、整備工場やディーラーといったプロに依頼しましょう。
ここからは、エアコンの不具合の対処方法とその費用相場をご紹介します。
対処法1:エアコンガスの補充:3,000円~
エアコンガスの補充は1本あたり3,000円~4,000円程度です。
車の種類によって1台あたり2本~3本必要なので、総額10,000円ほどかかります。
エアコンガスの交換頻度は、7年~10年程度といわれているため定期点検のときにチェックしてもらうとよいでしょう。
なおエアコンガスの補充は一般の方がおこなうとリスクが伴うため、プロに任せましょう。
ディーラーや整備工場だけでなく、ガソリンスタンドでも補充できます。
対処法2:エアコンフィルタ―の交換:5,000円~
エアコンフィルターの交換の相場は5,000円程度です。
エアコンの風がぬるいと感じてからではなく、車の中でもエアコンフィルターは消耗品にあたるため、定期的に交換する必要があるでしょう。
目安としては1年毎または1万キロに1回程度の交換が推奨されています。
エアコンフィルタ―の交換については、次の記事も参考になりますので、ぜひご覧ください。
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対処法3:ガスクリーニング:7,000円~
エアコンガスクリーニングは、整備会社やディーラーによって「エアコンリフレッシュ」という名称になっていることもあるでしょう。
ガスクリーニングの流れ
- 古くなり劣化したエアコンガスやオイルを回収
- エアコン内部をキレイに清掃
- 新品のエアコンガスやオイルを補填
ガスクリーニングは専用の機械が必要なため、自分で行うことはできません。
ガスクリーニングにかかる費用の相場はおよそ7,000円程度です。
対処法4:エバポレーターの洗浄:30,000円~
空気を温めたり冷やしたりする役割を持つエバポレーターを洗浄することでぬるい風を改善できます。
エバポレーターは素人では解体することが難しく、カー用品店などでも適切な薬剤が手に入りにくいため、手入れがしにくい部分です。
そのため自分で掃除をするのではなく、プロに洗浄をお任せするとよいでしょう。
解体し、丸洗い、組み立てといった手順があるため、エバポレーターの洗浄にかかる費用の相場は30,000円からと、やや高額に設定されているようです。
対処法5:サーモスタットの修理:10,000円~
車のエンジンがオーバーヒートしないように、適切な温度を保っているサーモスタットが故障していると、ぬるい空気しか出なくなります。
サーモスタットの修理は10,000円程度が相場になっているようです。
ただし、サーモスタットを修理したとしても、経年劣化によって性能が少しずつ落ちていきます。
あくまで目安になりますが、サーモスタッドの寿命は次の通りです。
- 使用開始から10年
- 走行距離が10万キロ
それを超えている場合は、修理ではなく交換を選択した方が良いかもしれません。
まとめ:車のエアコンの不具合は自分での対応は難しい!シーズン前にプロに見てもらおう
いざ夏や冬本場に入り、本格的に車のエアコンを使うシーズンになってから「ぬるい風しか出ない」となると、快適な運転ができなくなります。
そのため、シーズン前に一度車のエアコンが正常に動くかどうかをチェックしましょう。
まとめ
- 風がぬるいと感じたらまずはエアコンフィルタ―の汚れを疑う
- コンプレッサーなどの不具合の場合は家庭での対応が難しいのでプロに依頼
冷房ならば梅雨入り前後、暖房ならば朝晩は上着を羽織るようになってからが、メンテナンスの目安になります。
夏や冬の運転を快適にするためにも、ぜひチェックしてみてくださいね。