オーバーヒートとは?起こりやすい状況と対処法をわかりやすく解説

渋滞中に突然ボンネットから湯気が…そんな経験はありませんか?それ、もしかしたら「オーバーヒート」かもしれません。

この記事では、オーバーヒートとは何か、どうして起こるのか、そして万が一のときの正しい対処法まで、丁寧にわかりやすく解説していきます。

放置すれば高額な修理費につながることもあるため、前兆を見逃さず、早めに対応しましょう。

オーバーヒートとは?初心者でもわかる基礎知識

オーバーヒートとは、エンジンの温度が異常に高くなり、正常な冷却ができなくなる状態を指します。

主な原因は、冷却水(クーラント)がうまく循環せず、エンジンの熱を逃がせなくなることです。

ラジエーターやウォーターポンプの不具合、冷却用ファンの故障、エンジンオイルの劣化などが関係している可能性があります。

走行中に水温計の針がH付近を示したり、ボンネットから蒸気が出たりする症状が見られることもあります。

放置すれば重大な故障につながるため、早めの点検や修理が求められます。

オーバーヒートが起こりやすいケース

オーバーヒートは、エンジンに負荷がかかる状況で特に起こりやすくなります。

たとえば、夏場の渋滞や長い上り坂の走行時は冷却が追いつかず、エンジンの温度が異常に上がる可能性があるため注意が必要です。

冷却水の不足や漏れ、ラジエーターの詰まり、ウォーターポンプの故障なども原因となり、冷却機能が十分に働かなくなります。

また、エンジンオイルが劣化していると内部の摩擦が増え、エンジン内部の温度上昇が加速します。

症状が出たまま放置すると、部品の交換が必要になるほど深刻なトラブルに発展することもあるため早めの対処が必要です。

オーバーヒートを放置すると起こるリスク

オーバーヒートを放置すると、エンジン内部の金属が高温にさらされ、変形やひび割れを起こす可能性があるため注意が必要です。

オーバーヒートを放置したときに起こること

  1. 冷却水が不足してエンジンが冷えなくなる
  2. ラジエーターが詰まり冷却水の循環が妨げられる
  3. ウォーターポンプが故障し、冷却水がエンジン内を流れなくなる
  4. 冷却が不十分になりエンジンオイルが高温にさらされて劣化
  5. 劣化したエンジンオイルで潤滑が不十分になり潤滑不良を引き起こす

こうした症状が進むと、部品の交換が必要になり、修理費用は高額になります。

水温計の針が「C(コールド)」を指しても安全ではない

水温計の針が「C(コールド)」を指していると、「冷えているから安心」と思いがちですが、実はそうとも限りません。

エンジンが高温状態でも冷却水が漏れていたり、ラジエーターやウォーターポンプが故障していたりすると、水温計が正しく表示されないことがあるためです。

冷却が機能していないまま走行を続けると、エンジンオイルが劣化し、エンジン内部の部品に深刻なダメージを与える原因になります。

オーバーヒートが起きたときの対処法

車の水温計がHに振り切ったり、ボンネットから蒸気が吹き出していたりしたら、誰しも慌ててしまうものです。

オーバーヒートはいつ、どこで起きてもおかしくないトラブルの1つ。

ここからはオーバーヒートが起きた時の対処法を詳しく見ていきましょう。

STEP1:停車できる安全な場所に移動

オーバーヒートが発生したら、まずは速やかに停車できる安全な場所へしましょう。

エンジンの温度が異常に上昇したまま走行を続けると、ラジエーターやウォーターポンプ、冷却用ファンなどの部品に深刻なダメージを与えるおそれがあります。

水温計がH付近を指していたり、ボンネットから湯気が出ている場合は特に注意が必要です。

STEP2:エンジンはすぐに止める

安全な場所に停車したら、まずは水温計や警告ランプの状態、ボンネットから蒸気や異音が出ていないかを確認しましょう。

ボンネットから蒸気が出ていたり、異常な音やにおいがする場合は、エンジンをすぐに停止してください。

一方で、蒸気や異常が見られない場合は、エンジンをアイドリング状態でしばらく様子を見る方法もあります。

エンジンをすぐに止めると冷却水やオイルの循環が止まり、かえってダメージが大きくなることがあるためです。

いずれの場合も、冷却が追いつかない状態での走行はエンジンに深刻なダメージを与えるリスクが高まるため、無理に走行を続けるのは避けましょう。

状況に応じて、早めにロードサービスなど専門家に相談することも大切です。

STEP3:ボンネットを開けて、熱気を逃がす

エンジンを停止した後は、ボンネットを開けてエンジンルーム内にこもった熱気を逃がします。

冷却水やエンジンオイルの温度が高くなっているため、そのままにしておくと冷却系の部品がさらに傷む可能性があるためです。

ボンネットを開ける際はやけどに注意し、熱が落ち着くのを待ってから開けるようにしましょう。

STEP4:水温計と警告ランプのチェック

水温計はエンジンの冷却水の温度を示す指標で、H(高温)に近づいている場合は冷却が不十分なサインです。

赤い温度警告ランプが点灯していれば、エンジンがすでに危険な状態にある可能性があります。

これらの表示を確認することで、異常の有無や対処の必要性を判断しやすくなります。

STEP5:自力対応が不安ならロードサービスに連絡

オーバーヒートの状況に直面したとき、自分で点検や応急処置ができるか不安な場合は、無理をせずロードサービスに連絡しましょう。

冷却水の補充やラジエーターの確認などは、慣れていないとやけどや故障を招く可能性があるためです。

また、原因が分からないまま対応すると、エンジンや冷却系の部品にさらに負荷をかけてしまうリスクもあります。

安全な場所に車を停め、状況を説明すれば、プロが適切に対応してくれるので落ち着いて指示を待ちましょう。

進行度別:オーバーヒート時に見られる症状と前兆

車がオーバーヒートすると、進行状況によって現れる症状が異なります。

重度になると突然のエンジン停止に見舞われ、大きな事故につながる恐れがあります。

ここからは、車のオーバーヒートの症状を進行度別に詳しく見てみましょう。

初期症状:水温計の異常と甘い匂い

オーバーヒートの初期症状として最もわかりやすいのが、水温計の針がいつもより高めの位置、特にH(高温)に近づいている状態になることです。

走行中にこのような表示が出た場合は、冷却が追いついていないサインと考えられます。

また、エンジンルームから甘い匂いがすることがあります。

甘い匂いがするのは、冷却水(クーラント)に含まれる成分が加熱・蒸発することが原因です。

オーバーヒートによって冷却水が高温になり、ラジエーターやホースの亀裂、ウォーターポンプの故障などで漏れると、エンジンルーム内にこの成分が蒸発して匂いとして立ちのぼります。

中期症状:水蒸気や異音が発生したら要注意

オーバーヒートが進行すると、水蒸気がボンネットのすき間から立ち上ることがあります。

これは冷却水が高温になり沸騰している状態で、すでにエンジン内部の温度が危険なレベルに達しているサインです。

また、エンジンから「カタカタ」「カンカン」といった異音が聞こえることもあります。

これは冷却不足によって金属部品が膨張し、正常に動作しなくなっている可能性があります。

水温計がHを振り切っている場合は、すぐにエンジンを止めて対処が必要です。

末期症状:焼け焦げた匂いやエンジン停止

オーバーヒートがさらに進行すると、エンジンルームから焦げたような匂いが漂うことがあります。

これは金属部品やエンジンオイルが高温で焼けている可能性があり、非常に危険な状態です。

水温計がC(コールド)を指している場合でも、センサーが異常を起こして正しく表示されていないことがあります。

最悪の場合、エンジンが停止し再始動できなくなることも。

こうなると修理費用が高額になるため、少しでも異常を感じたらすぐに対応することが重要です。

オーバーヒートした車の修理費用

オーバーヒートによる修理費用は、故障した部品や損傷の程度によって大きく異なります。

故障箇所 主な原因 修理費用の相場(目安)
ラジエーター 水漏れ、詰まり、経年劣化 約3万~7万円
ウォーターポンプ ベアリング摩耗、冷却水漏れ 約2万~6万円
冷却ホース類 ひび割れ、劣化による冷却水漏れ 約5千~2万円
サーモスタット 開閉不良による冷却水の循環停止 約5千~1.5万円
冷却用電動ファン モーター故障、リレー不良 約1万~3万円
エンジンオイル 高温での劣化・潤滑性能低下 約5千~1万円
ヘッドガスケット 熱による焼損・吹き抜け 約8万~20万円
エンジン本体 熱による歪み、焼き付き 約20万~50万円以上

たとえば、冷却水の補充やホースの交換だけで済めば数千円~1万円程度で済むこともありますが、ラジエーターやウォーターポンプの故障となると3万~10万円ほどかかる場合があります。

さらにエンジン本体がダメージを受けていた場合は、修理費が20万円以上になることも珍しくありません。早期発見・早期対処が費用を抑えるポイントです。

オーバーヒートを未然に防ぐためにできること

車のオーバーヒートは、メンテナンスによって未然に防ぐことができます。

ここからは、オーバーヒートを未然に防ぐためにできることを3つご紹介します。

水温計のチェック

水温計は、エンジンの冷却水の温度をリアルタイムで確認できる重要な計器です。

通常はメーターの中央付近を指していますが、H(高温)側に近づいている場合は冷却がうまく機能していない可能性があります。

特に渋滞中や坂道走行中は水温が上がりやすいため、こまめにチェックすることが大切です。

運転中に針がいつもと違う位置を指していたら、早めに車を停めて状況を確認しましょう。

水温計の異常は、オーバーヒートの前兆に気づくための大事なサインです。

冷却水のチェック

冷却水は、エンジンの熱を逃がすために欠かせない液体で、不足や漏れがあるとオーバーヒートの原因になります。

ボンネットを開けるとリザーバータンクが見え、そこに「FULL」と「LOW」の目盛りがあるので、冷却水がその範囲に収まっているかを確認しましょう。

点検はエンジンが冷えているときに行うのが安全です。

もし量が少ない場合は、市販のクーラントを補充し、頻繁に減るようであればラジエーターやホースに漏れがないかも疑う必要があります。

エンジンオイルのチェック

エンジンオイルは、部品の摩擦を減らすだけでなく、エンジンの熱を吸収して冷却する役割も担っています。

オイルが劣化したり量が不足していると、熱がこもりやすくなり、オーバーヒートのリスクが高まります。

点検はエンジンが冷えた状態で行い、オイルレベルゲージを使って量と汚れ具合を確認します。

色が黒く濁っていたり、指定範囲より少なければ交換や補充が必要です。

定期的なチェックと交換が、エンジンのトラブル防止につながります。

まとめ

オーバーヒートとは、エンジンが異常に熱くなり、冷却が追いつかなくなる状態のこと。

特に夏場の渋滞や坂道走行中は注意が必要で、放置すれば高額な修理費やエンジンの故障につながります。

水温計の異常や甘い匂い、蒸気などは危険のサイン。

初期対応を誤ると手遅れになることも。水温計や冷却水・エンジンオイルのチェックをこまめに行い、前兆を見逃さないようにしましょう。

福岡県中間市にある中間ダイハツでは、オーバーヒートを未然に防ぐための点検を随時実施中です。

今年も猛暑が予想され、全国各地でオーバーヒートによるトラブルが起こる可能性があります。

夏のレジャー前にぜひプロにチェックしてもらい、オーバーヒートを事前に防ぎましょう。