交通ルールや速度制限を守っているのにも関わらず、あおり運転を受けたら動揺するとともに、どうすればよいのか分からなくなるドライバーもいるでしょう。
あおり運転は2020年の改正道路法により厳罰化されましたが、それでも未だに多くの人があおり運転に遭遇しています。
あおり運転に遭ったときに、冷静に対処しないと交通事故に遭ってしまったり、思わぬトラブルに巻き込まれたりする恐れがあるため注意が必要です。
この記事ではあおり運転とは何か、あおり運転されたいための対策やされたときの対処法をご紹介します。
そもそもあおり運転ってなに?
あおり運転とは他の車に対して意識的に嫌がらせをすることで、重大な事故につながりかねない、極めて悪質な行為です。
これまで、あおり運転には明確な定義がありませんでした。
しかし、2020年の道路交通法の一部改正にともない、あおり運転は以下の違反行為を「妨害運転罪」として罰せられるようになりました。
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- 通行区分違反《対向車線にはみ出す》
- 急ブレーキ禁止違反《不要な急ブレーキをかける》
- 車間距離不保持《車間距離を極端に詰める》
- 道路変更禁止違反《急な進路変更》
- 追越し違反《左からの追い越し》
- 滅光等義務違反《執拗なパッシング》
- 警音器使用制限違反《不必要なクラクションの反復》
- 安全運転義務違反《幅寄せや急な加減速》
- 最低速度違反(高速自動車国道)《高速自動車国道の本線車道での低速走行》
- 高速自動車国道等駐停車違反《高速自動車国道や自動車専用道路での駐停車》
さらに、昨今のあおり運転の社会問題化を受けて、厳罰が課せられるようになりました。
あおり運転は増えている
チューリッヒ保険会社は、2024年6月に全国のドライバーを対象にあおり運転実態調査を実施しました。
その結果、「あおり運転に遭遇したことがある」と答えたドライバーは全体の約72.5%と、昨年よりも増加していることがわかりました。
このことから、ドライバーはあおり運転されないための工夫やあおり運転されたときの対処法を知っておくことが重要です。
参照:全国のドライバーに「2024 年あおり運転実態調査」を実施│チューリッヒ保険
あおり運転されないための5つの対策を徹底解説
あおり運転をするドライバーが悪いのはもちろんですが、自分で対策することであおり運転に巻き込まれるのを防止することにつなげられます。
当たり前にしていた運転の仕方があおり運転の原因となってしまうことも多く、あらためて自分のドライビングテクニックについて見直してみる機会にしませんか?
また、あおり運転を防ぐ効果のあるアイテムもあり、活用して対策する方法もおすすめです。
対策1:車間距離を十分に取って運転する
前を走る車と十分な車間距離を保った上で運転しましょう。
車間距離を詰めすぎると自分にはそんなつもりがなくても「あおられているのでは?」と前の車のドライバーがイライラし、急ブレーキをかけるなどのあおり運転を受けてしまうことも。
また、急に割り込まれた場合なども落ち着き、車間距離を十分にとることが大切です。
適正な車間距離とは、前の車が急ブレーキをかけても追突を避けられるほどの距離のこと。
たとえば高速道路を80km/hで走行しているなら80m、100km/hなら100mは車間距離をとるべきだとされています。
もちろん高速道路の走行時だけでなく普段から車間距離を意識し、運転するようにしたいですね。
対策2:急な割込み・急ブレーキをしない
急な車線変更で割り込んだり、急ブレーキをかけたりするのはやめましょう。
場合によっては、後ろの車に対して挑発行為だと捉えられ、あおり運転を誘発してしまうことがあります。
車線変更する際は周囲を確認し、ウィンカーをつけた後におこないます。
不必要な急ブレーキや急激な減速は道路交通法第24条において違反行為と明示されており、刑事罰が課されることもあるため注意が必要です。
ただし、動物が飛び出してきた・急に割り込みされたなど、事故を回避する目的であれば、その限りではありません。
こういった行為は焦りからおこなってしまう場合も多く、ゆとりを持ってハンドルを握ることが大切です。
対策3:追い越し車線での居座り運転をしない
走行車線と追越車線のある高速道路などで、不必要に追越車線に居座って運転するのはやめましょう。
不必要に追越車線を走り続けていると、後続車が追い越せず、スムーズな車の流れを妨害してしまいます。
その結果、後続車ドライバーがイライラし、あおり運転を誘発してしまうというケースが多いようです。
追越車線上は追い越す際にのみ走行し、やむを得ない事情がない限りは追い越したらすみやかに走行車線に戻らなければなりません。
また、追越車線を走行中に後ろから車が来た場合はすみやかに走行車線に戻り、道を譲る必要があります。
場合によっては「通行帯違反」となり、反則金を支払わなければならないこともあるので注意したいですね。
対策4:ノロノロ運転をしない
必要以上に低速での運転は控えましょう。
法定速度を大きく下回るほどにノロノロと運転してしまうと、急ぎたい後続車のドライバーがイライラし、あおり運転に発展してしまうことが考えられます。
安全運転を意識することは大切ですが、車の流れを滞らせるほどのノロノロ運転はNG。
運転する際は周囲の車の走行速度に合わせ、流れをキープすることも大切です。
慣れない道などでゆっくり運転したい場合は路肩に車を寄せて後続車に道を譲り、そのあとでのんびりと走りましょう。
対策5:ステッカーを後部の目立つところに貼る
ステッカーを車の後部などに貼るのも効果的な対策のひとつです。
「お先にどうぞ」や「赤ちゃんが乗っています」などのステッカーは後続車のドライバーに配慮を促し、多少ゆっくりと走っていてもあおり運転の被害を受けにくくなるでしょう。
また、「ドライブレコーダー設置中」や「録画中」といったステッカーなら、あおり運転そのものを直接抑制する効果が期待できますね。
ドライブレコーダーを設置していない場合でも、ステッカーだけ貼っておくという手もあります。
とはいえ、実際にステッカーだけでなく、ドライブレコーダーを設置しておくのがベスト。万が一あおり運転に遭った場合に役立ちます。
しかし、ひとまずステッカーひとつであおり運転の防止につながるため、ぜひ試したい対策ですね。
おすすめのドライブレコーダーについては以下の記事が参考になりますので、ぜひご覧ください。
あおり運転されたときの対処法
あおり運転された時は、駐車場など安全に停車できる場所へ避難しましょう。
できるだけ人目の多い場所の駐車場がおすすめです。
もし、近くに交番や警察署があるのであれば、助けを求めます。
高速道路であれば、サービスエリアやパーキングエリアなどの休憩施設へ避難します。
ここで、高速道路はもちろんのこと一般道でも路肩や車線上に停車してはいけません。
後続車に追突される恐れがあり大きな事故につながるリスクがあるためです。
車を駐車したら、ドアをや窓はロックしたまま、携帯電話で110番通報します。
このとき、相手から攻撃されることもあるので「開けろ」と迫られても決して開けてはいけません。
同乗者がいるときにあおり運転されたら、走行中でも同乗者に110番通報してもらい、指示を仰ぎましょう。
警察が到着するまで、脅しや挑発を受けても相手をせずに車内で待機します。
相手が逃げ出しても、追いかけてはいけません。ドライブレコーダーや携帯電話のカメラを利用し、車内から記録しておきます。
これらの動画・写真記録はその後の捜査に役立つでしょう。
【2020年7月】あおり運転の厳罰化!事故にならなくても免許停止に
あおり運転は「妨害運転罪」として、事故を引き起こさなかったとしても違反1回のみで免許停止となる厳罰が課されることとなりました。
他の車の通行を妨害しようと急ブレーキをかけたり、無理に車幅を詰めたりといった違反をおこなうだけで最大で懲役3年または50万円以下の罰金。違反点数は25点となり、免許は取り消しとなります。
また、高速道路などで他の車を停止させるなど、道路上で交通に著しい危険を生じさせた場合は最大で懲役5年または100万円以下の罰金。違反点数は35点で、免許は取り消しとなります。
まとめ
近年あおり運転は社会問題化し、ニュースでその模様を目にすることも多いですよね。
トラブルに巻き込まれないようにするためには、自分で運転の仕方などの対策を講じるのが効果的です。
当たり前と思っていた自分の運転があおり運転を誘発しているケースもあり、あらためて自分のドライビングテクニックを見直すきっかけにしてみてはいかがでしょうか。
また、これまで明確な罪として問われていなかったあおり運転ですが2020年から妨害運転罪として違反行為が明確化されました。
まとめ
- あおり運転に巻き込まれないよう運転に仕方を身につけよう
- ドラレコ設置などをうかがわせるステッカーを貼っておくことも効果的
- あおり運転は妨害運転罪として2020年7月から厳罰化された
あおり運転に巻き込まれないだけでなく、自分自身も違反行為を行わないよう気をつけておくことも大切です。
自分や家族、大切な人たちの命を守るため、あおり運転に巻き込まれないよう、しっかりと対策しておきたいですね。